阿刀田 達磨は法身の瞑想に入りながら次のように呟きはじめた。
すぐ尽きてしまう財産など誰も欲しがらない。
すぐにリストラに遭う地位など誰も求めない。
名ばかりの人望など誰が顧みるのだろう。
ときに移ろう人気を求める人々は何をみているのか?
絶世の美貌も容姿も今このときでのことでしかない。
世俗のそんなものは何もいらない。
マリクパが生み出した偽りの人生などもういらない。
煩悩の汚染によって自らも他も汚しきっている人生などもうやめよう。
病気・貧困・社会紛争・宗教問題のすべてはマリクパが生み出す顕現だ。
目覚めよ人類! 目覚めよ社会! 目覚めよ人々!
(一般の下世話な宗教は、地位を棄てなさい、財産を寄付しなさい、山に籠もりなさいというけれどそんなのはすべてうそっぱちです。なぜなら、煩悩はそんなことでは浄化も解除もできないからです。むしろその煩悩の対象が宗教や解脱に向かっているだけのことなのです。)
煩悩はとめどなく湧き出てくる。誰もそれを止めることはできない。
ある宗教家は煩悩を水草にたとえて常に抜き取れとはいうけれどそんなのは徒労だ。
煩悩の性質をまったく理解していない。そんな宗教家はいらない。
煩悩を智慧に還元する菩提心の教え以外に煩悩を乗り越えることはできない。
放棄の道も、
変容の道も、
開放の道も、
煩悩にアプローチするために説かれたが、それを誰も実践しなければ、何も変わりはしない。
自らが煩悩と対話しながら乗り越えよう思わなければダメだ。三日坊主とはそういうことなのだ。
阿刀田 達磨は常にこの煩悩と格闘している。
なぜなら、思想マイスター・ダルマダイシのファーストミッションはこの人類の負の遺産である煩悩の浄化と解除が任務であるからだ。
その鍵がリクパ(明知)であり、まず最初に『知恵のカッコウ』に目覚めるしかないのだ。
そこからすべての思想マイスターは出現するのであろう。