どのような対象や言葉や概念によって意識が汚されることがない境地(状態)にあれば、どのような状況や行為や境遇であれそれを楽しむことができる。
苦しみすら甘露に変わる。
それが自動解脱の状態だ。
さらにそれが加速すれば空間へと飛翔する金翅鳥のように飛び立つ。
つまり時間と空間を超えてディメンジョンする。(次元遷移する)
時間と空間があるからこそ我々はどのようなかたちで消滅しても本来帰還する場所に戻れる。
明日死がやって来ようとも、死ぬ準備ができているものたちにとって死は我々のあるひとつの存在過程にすぎない。
我々はいつも空間や時間の中で融合しながら存在している。
だから過去のカルマを払拭し、煩悩を浄化すれば、時間と空間の狭間に我々の帰すべき空間(とどまり、安住する場所)が見えてくる。
刹那の悟りとは、その一瞬一瞬を自覚している中に常に遍在している。
だから解脱や悟りを願うことすら無用であり、そこにこそ真実の悟りが遍在している。
完全に透明なこの真実の状態に何も求めることなく、ただあるがままにとどまることこそ究極の真実であり、悟りの更なる悟りの境地(状態)といえよう。
阿刀田 達磨